<   2010年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

こころの道

わたしたちの住む伊勢は、山に囲まれた谷間にあります。
南北に流れる川沿いに田が広がる、細長い村です。
村の主要な道は一本。
それに平行して田を挟んだ東側にあぜ道が二本。
一本の川と三本の道、田畑と里山、そして山へ入ると池と森。
それがこの伊勢村の風景です。
わたしはこの見慣れた景色を眺めながら、
毎日伊勢村の一本道を通ります。
車で、ときに歩いて、毎日同じ道を通ります。

どこか寂しげな枯れ色の田に、活気があふれてみるみるうちに
みどり一色に染まる田植えの五月。
強くてりつける太陽の下で不思議なほど涼しげに稲が風にそよぐ七月。
台風が来るのを知ってか知らずか穂を垂れ始め、
静かに時が過ぎるのを待つドラマチックな八月。
あわただしく稲刈りが始まりひと心地つく九月。
稔りを祝う祭りの準備、寄り集まっての餅つきが忙しくも楽しい十月。
空を見上げると満天の星空。
そのうち赤や黄色に色づいた柿の葉が地面を多いつくし、
残った柿をついばみに鳥たちがやってきて、
おしゃべり好きな彼女たちはぴいちくぱあちく騒ぎ立て、
急に静かになったかと思うと、静かな暗い冬がやってきます。

田園地帯地住んでいると、四季の移り変わりの中に生かされている自分に気が付きます。
自然の美しさを愛で、、自然を享受する苦しさ楽しさを分かち合う、
こうした生活に満足できる人でありたいと、素直に願えるようになったのも、
この村へ移り住んで来てからのことです。

今年の夏は例年にない暑さでした。
いつもより長く感じた夏がうそのように影をひそめ、
遠くなつかしい思い出となった頃、
黄金色に輝く田を縁取るように、時忘れじと咲く紅色の彼岸花。
見渡す限りそんな景色が続く田のあぜ道を、
暮れかかる日の光に照らされながら下校する子どもたち。
両手ですくい取ろうとしてもこぼれ落ちてしまう、この美しい時の景色を横目に、
わたしは毎日、忙しい、忙しいと、何に追われているのだかあたふたしながら、
村の一本道を同じように通ります。
そして、思います。

この色とりどりの、のどかな美しい風景。
あたかも自然の産物のようだけど、決して全くの自然ではない。
それは、人の手によって元ある自然の力を押したり引いたり。
そこに住む人々によって管理された自然の中を、
太陽に照らされながら楽しげに歩く、その人々の子どもたち。
自然にとっては、実りの恵みを生み出す力を与えられ、
子どもにとっては安全と安心と、豊かなこころを育てる原風景を与えられ、
こんな絶妙な、かけがえのない美しさが、あったんだなあと。

この風景を、絶やしてはいけない気がしています。
これを読んでいただいている方々なら、きっとこの気持ちをわかって下さっているだろうと思います。
絶やさないために、ひとそれぞれに、できることがきっとあると思います。
米屋を手伝うわたしにとって、それは、お米を食べることを提案することだと思っています。

わたしたち日本人の体は、米を食べることに喜びを感じるように出来ています。
米を食べると日本の国土が守られます。里山が守られます。
農の大切さに気が付きます。何にも勝る自然の美しさに気が付きます。
そう、お米を食べると元気になれる!

今日のごはんは何にしようと悩むなら、とにかくごはんと味噌汁を、
子どもを喜ばせたいとおやつを用意するなら自信を持っておにぎりを。
お腹が空いたときに食べるごはんは間違いなくおいしいものです。
血糖値を下げ免疫力を高めたい人は玄米を。
大切に育てられたお米なら尚良いです。
そしてミネラルを豊富に含んだ、やはり大切に育てられた野菜を、
昔ながらの方法で作られたおいしい調味料でシンプルに味付けしてごはんの友としましょう。
たったこれだけのことで、絶えかかりそうな日本の原風景を
未来へ残すことができるかも知れないのです。

わたしたちはいつの間にか種をまくのを忘れ、自らの手で育てるのを怠り、
あるいはかろうじてまいた種をも自分で刈り取らずして、おいしいとこ取りに明け暮れて、
そんな宙ぶらりんな生活を、宙ぶらりんだとも思わずに過ごしているかも知れません。
まずはなんとか宙ぶらりんでもこうして平和に過ごせることに感謝して、
だけどそのうちどっしりと地に足を着けられる日を目指して、
今日も明日も、あさっても、おいしいごはんを食べましょう。

そんなふうなことを考えながら、毎日通る伊勢の一本道は、
今ではなくてはならないこころの道に、なってるようです。
by o-beikokuten | 2010-10-25 02:17

栗ごはん

あかちゃんと近所をお散歩していると
やさしく声を掛けてくださるご近所さんに
いつも元気を頂いています。

昨日は、いつものようにあかちゃんを囲んで
世間話なんかをしていると、

そうだ、栗、いらない?

とポケットから栗を取り出し、コロリと手のひらに載せて
みせてくれた近所のおばさま。
その栗の、まるまると太った見事なこと。

うわ~♪
と親子で歓声をあげると、

あら、まだあるのよ。
さっきとってきたのよ、
良かったら食べて。

と、ズボンの左右のポケットから、
そしてズボンの後ろ、
服のポケットと、
いろんなところからコロコロころりん・・・♪
家へ帰るころには、私のカバンは一回り大きくなっていました。
栗ごはん。。。こどもたちの喜ぶ顔が目に浮かんで、うれしくなりました。

今日の夕方、こどもたちは近所のお友達に誘われての、
焼き芋パーティーでした。
パーティーといっても、会場は田んぼ。
自分たちでワラを集めて火をおこし、お芋を焼きます。
昨日、村の芋畑で芋ほり会があったので、そのお芋を焼きます。
みんな泥と灰にまみれてまっくろけっけ。
大きなお芋はなかなか焼けずに、暗くなるまで火の番をして、
最後のひとつを食べた慶次郎はそのおいしさに感動したのでしょう、
いつもなら宿題の日記は1ページだけなのに、
今日は特別に2ページ、それもびっちりと文字でうめつくされていました。

は~今日はええ日~やった~。
お芋が大きくて、食べたのが遅かったし、おなかいっぱい!
と言いながらお風呂から出てきた子供たち。

私のほうは、子供たちのために栗をせっせとむいて、
栗ごはんならぬ、栗の炊き込みご飯を用意していました。
炊きたてほかほかの栗炊き込みご飯。
せっかく作ったけど、焼き芋も楽しかっただろうし、
じゃあ、少しだけよそうね、
と、軽くごはん茶碗によそったら、案外みんなぱくぱく食べて、

おかあさん、お代わりしてもいい?
って。

芋と栗ってなんか似てるけど、ちょっと違う、
けど、どっちもおいしいなあ。
って。

野菜のお汁も好評でした。
我が家の食卓に度々登場する野菜鍋、これもとっても幸せな味なのです。
おすすめなので、レシピを少し。

大きな土鍋に好きな野菜を入れて、
塩とお酒ではじめに少し蒸します。
その後だし汁を加えてみりんと醤油です。

レシピってそれだけなのですが、
それだけに、塩とみりんと醤油を少し上等なものにします。
今日は山東白菜と大根と採れたての椎茸。
昨日は白菜と里芋と人参と糸こんにゃく。
野菜鍋というより、野菜スープといった感じに仕上がります。
昨日はそのスープをだし汁代わりに使ってとろろを作りました。

わたくし11月が誕生月なのですが、今年は運転免許の更新。
警察署はいつも込み合っているイメージがあるので、
おっくうだなあと思っていたのですが、
そんな悩みも解決。
私はゴールドカードの人なので、そう、優良運転者なのです。
だから、市の一番大きな警察署へ出向かなくても、
市外の、それも平和そ~な警察署へドライブがてら行ってくればいいのです。
住んでいるところから一番近い田舎の警察署。
行けば運転免許更新は私ひとり。
もちろん待ち時間なしで、
あかちゃんはかわいがってもらって、
その上書類書き込みのときは抱っこして下さり、
講習はゆったりソファーでビデオ鑑賞15分。

帰りは秋の景色を楽しみながら
近所の直売所に寄り新鮮な野菜を今晩の栗ディナーのために…♪

野菜。。。と言えば、うちの畑。
大根、人参、春菊とサラダ水菜を種から育てて、
今はかわいい芽が出て、一番希望に燃えているところです。
ところがどうもおかしいなあと思っていること。
それは獣の足跡なのです。
わたしがせっかくきれいに盛ってる畝の上を何者かが歩いてる。。。
昨日その犯人を発見しました。
アナグマ?
畑は塀に囲まれた秘密の花園ならぬ秘密の畑なので、
獣が入ってくることはまずないと思っていたのですが、
門の下の土を掘って入ってきたようです。
今日もまだ畑にいたようで、学校から帰宅後すぐにそれに気づいた子供たちは
一瞬色めきたち、息を忍ばせて畑へ探検に行きました。

さてさて、野菜の芽が出てかわいいのはいいのですが、
わたしは腰が痛くなりました。
日曜日には地域のお祭りがあるので、それまでには治したい!
と思って、初めて整骨院へ行きました。
いつもはヨガやストレッチで痛みは軽くなるのですが、
今回はこの辺りでも評判のその整骨院へ興味半分、行ってみようと思ったのです。

それで今日、朝一番に開院前の整骨院駐車場へ着きました。
車から降りると早一番を陣取っていたおばあさんがひとり。
わたしのすぐ後にまたひとり。
お二人ともわたしの赤ちゃんを見るなり興味津々で、
いろいろと話しかけてくださり、着いた早々ほっと心が和みました。

整骨院ではこれまたとても親切にして下さって、
初体験のゴキッ、ゴキゴキッという骨の矯正もなんなくクリア。
体育会系の勢いも、たまにはおもしろいなあと。

田舎に住んでいたら毎日が素敵な田舎暮らしってわけではないような、
目には見えないけれどたくさん問題を抱えてるんだなっていう
複雑な気持ちを抱くこと多々ありますが、
今日はそんなこんなで、田舎生活いいとこどりの、
盛りだくさんだったにも関わらずほんわかした
秋晴れのよい一日でした。
by o-beikokuten | 2010-10-14 22:37 | つれづれ

こんばんは。

暑く忙しく長かった、けれども振り返ると充実した夏もすっかり影をひそめ、
やっと心静かにこうしてブログへ向かう夜がやってきました。
今日から長男は4泊5日の自然学校へ出発しました。
夏休み明けから、ゴロリと転がり込んできた我が家のイソウロウさんも
今日はお出かけしていて、
いつもは総勢7名の夕食も、
私たち夫婦と赤ちゃん、次男三男の五人だけ。
妙に落ち着いた静かな夜でした。
3兄弟が集まるとけんかが始まったり、生活指導?の声かけだけでも
ぎゃーぎゃーにぎやかな我が家ですが、
男の子が2人だけだとなんだか拍子抜けするほどやり易く、ちょっと寂しいです。

赤ちゃんははや1才と2ヵ月を過ぎました。
夏休みの初めにトコトコトと歩き出し、
お兄ちゃんたちになめられるようにかわいがられてすくすくと成長しています。

私たちの生活は毎日絶え間なく走り続けるマラソンのようで、
確実に変化していく自然の彩りのトンネルの中をくぐり抜け、
今は黄金色に広がる田んぼの様子に時の流れを感じます。
ふと気が付けば赤ちゃんが散歩の時に手慰みに手折おる花も野菊に彼岸花、
不思議そうに野花に顔を近づける我が子の様子に
永遠の美しさを見出します。

さて、自分の時間を取り戻しつつあるわたくし、
牛歩ながらにまた日々の楽しさを綴っていけたらと思っています。
by o-beikokuten | 2010-10-04 21:34 | つれづれ